第十二候 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)【4春分-3】3月30日~4月4日

第十二候 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)

【4春分-3末候】3月30日~4月4日

雷が鳴り始める時期です。春に鳴る雷を「春雷」といいます。夏の雷と違ってひとつふたつで鳴りやむことが多く、そのせいかひときわ大きく響くような気がします。まるで春の号砲のようです。

【旬】

 

木:雪柳

桜貝

蓮華

 

第十一候 桜始開(さくらはじめてひらく)【4春分-2】3月25日~3月29日

第十一候 桜始開(さくらはじめてひらく)

【4春分-2時候】3月25日~3月29日

いよいよ桜が咲く時期です。花と言えば桜をさすほど桜が大好きな日本人。

咲いている桜の花はもちろん、散りゆく桜も愛でられてきました。水面に落ちて流れていく桜の花びらを「花筏(はないかだ)」と呼びます。

【旬】

魚:桜鯛

木:柳

 

 

第十候 雀始巣(すずめはじめてすくう)【4春分-1】3月20日~3月24日

第十候 雀始巣(すずめはじめてすくう)

【4春分-1初候】3月20日~3月24日

雀が巣を作り始める時期です。この時期雀が隠れるほど草がのびることを「雀隠れ」といいます。若草の間で雀がかくれんぼ。

【旬】

花:辛夷(こぶし)

 

 

♪ 白樺 青空 南風
こぶし咲くあの丘北国の
ああ北国の春

(「北国の春」千昌夫)

 

 

野菜:わらび

景色:彼岸潮

 

 

第九候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)【3啓蟄-3】3月15日~3月19日

第九候 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

【3啓蟄-3末候】3月15日~3月19日

さなぎが蝶になりはばたく季節です。劇的に姿を変える蝶々は「夢見鳥」「夢虫」などの異名を持ちます。色とりどりの蝶々はまるで夢を見ながら飛んでいるようです。

この呼び名は古代中国の思想家、荘子の説話「胡蝶の夢」に由来します。

「蝶になる夢を見たけれど、本当の私は蝶で今人間になっている夢を見ているだけではないか、、」というお話です。

夢と現(うつつ)が混じりあう幻想的な世界を昔の人も感じていたのですね。

 

【旬】

魚貝:鰆(さわら)、あさり、青柳(あおやぎ)

花:蒲公英(たんぽぽ)、ヒヤシンス、かたばみ

野菜:せり

 

 

 

 

 

第八候 桃始笑(ももはじめてさく)【3啓蟄-2】3月10日~3月14日

第八候 桃始笑(ももはじめてさく)

【啓蟄 次候】3月10日~3月14日

桃が咲き始めるころです。昔は花が咲くことも「笑う」「笑む」といいました。どの花も美しく笑っています。

【桃の花】

梅、桃、桜の見分け方は、梅は花びらの先が丸く、桃はとがっており、桜は2つに割れています。

 

【旬】

花:馬酔木(あしび)

魚介:若布(わかめ)、さより

野菜:新たまねぎ

鳥:かわらひわ

行事:春日祭(奈良の春日大社)

 

 

 

第七候 蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)【3啓蟄-1】3月5日~3月9日

第七候 蟄虫啓戸(すごもりのむしとをひらく)

【啓蟄 初候】3月5日~3月9日

冬ごもりしていた虫が姿を現しだす頃。虫に限らずさまざまな生き物がめざめ始めます。

【旬】

花:猫柳、菫(すみれ)

草:つくし

野菜:わらび、ぜんまい

魚:いかなご、鰆(さわら)

 

 

第六候 草木萌動(そうもくめばえいずる)【2雨水-3】2月28日~3月4日

第六候 草木萌動(そうもくめばえいずる)

【雨水 末候】2月28日~3月4日

草木が芽を吹き始めるころです。いよいよ春めいてくる季節です。地面からはいっせいに草の芽が萌え出てきます。

【旬】

魚介:蛤(はまぐり)

野菜:木の芽あえ

行事:ひな祭り

上巳(じょうし)の節句。曲水の宴を催し、桃の花を浸したお酒を飲む行事。ひな人形を飾るようになったのは江戸時代から。

節句(せっく)とは「季節の変わり目」のこと。

中国の陰陽五行説に由来して定着した日本の暦における、伝統的な年中行事を行う季節の節目(ふしめ)となる日をさします。

昔は奇数の数字が重なると良くないことが起こるとされていたので、邪気払いの意味をこめて宴会が行われたそうです。

◇五節句
・人日(じんじつ)の節句 。1月7日 七草の節句。七草粥。
・上巳(じょうし)の節句。3月3日 桃の節句。雛祭 菱餅や白酒など。
・端午(たんご)の節句。5月5日 菖蒲の節句。菖蒲酒。菖蒲湯の習俗あり。関東では柏餅、中国や関西ではちまき。
・七夕(しちせき)の節句 。7月7日 七夕(たなばた) 裁縫の上達を願い素麺が食される。
・重陽(ちょうよう)の節句。9月9日 菊の節句。 菊を浮かべた酒など

第五候 霞初靆(かすみはじめてたなびく)【2雨水-2】2月23日~2月27日

第五候 霞初靆(かすみはじめてたなびく)

【雨水 次候】2月23日~2月27日

霞(かすみ)がたなびき始めます。霞は春の風物詩。春の霧(きり)を指します。

【旬】

魚:むつ

鳥:雲雀(ひばり)

ひばりは春になると「ピーチクパーチク」大きな声でさえずり始めます。雲の合間から鳴き声が聞こえることから雲雀という名前になったそうです。

歌手の美空ひばりさんも、昔田んぼで雲雀が美しい声で鳴いているのを聞いて芸名をひばりにしたとか。その時も春のおだやかな日だったのでしょうか。

「楽天(らくてん)」もひばりの異名です。

 

 

景色:朧月(おぼろづき)

秋は「霧(きり)」、春は「霞(かすみ)」と呼ばれます。

そして「かすみ」は夜になると「朧(おぼろ)」に呼び名が変わります。

 

花:沈丁花(じんちょうげ)

 

 

「三寒四温」

暖かい日が続いたかと思うとまた寒さがぶりかえし冬に逆戻り。このように寒暖が繰り返されること。

 

第四候 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)【2雨水-1】2月19日~2月23日

第四候 土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)

【雨水 初候】2月19日~2月23日

雨が降って土がいくらか湿り気を含みだすという意味です。

この時期は気温が低いため雨が降ったあとも乾きにくく、さらに雪解けも加わって土がぬかるみます。これを「春泥(しゅんでい)」といいます。

【旬】

花:雪割草(ゆきわりそう)

野菜:春菊、明日葉

魚:とびうお、ほうぼう

果物:いちご

行事:お伊勢参り

 

・春キャベツ

キャベツの旬は年に3回。そのうち2月~6月に収穫されるのが春キャベツです。みずみずしく、葉がやわらかいので、サラダや浅漬けなどに。

選び方のこつは、葉の巻きがふわっとしてゆるやかなものを。

 

・お伊勢参り

江戸時代中頃から庶民の間でお伊勢参りが盛んになりました。

当時は自由な旅が許されなかったのですが、お伊勢参りなら通行手形が認められたため、一生に一度でも行きたい庶民の夢でした。

そして貴重な旅ゆえ、大阪や京都へ足を伸ばす行楽ともなり、季節のいい春に行くことが多かったそうです。

 

第三候 魚上氷(うおこおりをいずる)【1立春-末候】2月14日~2月17日

第三候 魚上氷(うお こおりを いずる)

【立春 末候】2月14日~2月17日

川や湖の水がぬるみ、表面の氷が割れて魚が飛びはねる時期です。

2月より各地で渓流釣りが解禁となります。日本に昔からいた在来種である、山女魚(ヤマメ)、岩魚(イワナ)、天魚(アマゴ)などを釣るのが、春の楽しみです。

【旬】

魚:いとより、わかさぎ、やまめ

野菜:高菜、明日葉(あしたば)

 

花:椿(つばき)

 

春寒(はるさむ)

暦の上では春ですが2月はまだ寒い時期。その寒さを春寒(はるさむ)や余寒(よかん)と呼び、暖かな春の到来を心待ちにします。

 

谷汲踊り(たにぐみおどり)

平家を討った源氏の戦勝の踊り。岐阜県・谷汲山華厳寺で2月18日に行われる行事。くじゃくのようなカラフルなシナイを背負い太鼓を鳴らす。