対応する候
・乃東生(なつかれくさしょうず)
・乃東枯(なつかれくさかるる)
暮らしに旬を
第七十一候 水沢腹堅(さわみずこおりつめる)【24大寒-次候】1月25日~1月29日
沢に水が厚く張り詰める頃。水沢(すいたく)は水のある沢。厳寒の時期、厚い氷には周りの景色が映る。それを氷面鏡(ひもかがみ)という。

【旬】
風物:氷柱(つらら)
滑るような感じを表す「つらつら」が変化したもの。
清少納言は「水晶の滝」にたとえて美しさをたたえている。
「 銀(しろがね)などを葺きたるやうなるに、水晶の滝など言はましやうにて長く短く、ことさらにかけわたしたると見えて、いふにもあまりてめでたきに・・」
(訳:屋根は白銀を葺いたような美しさで「水晶の滝」などと言いたくなる様子で、つららが長かったり短かったり、趣きのあるように掛け渡しているように見えて言葉にできない美しさで・・)
花:蝋梅(ろうばい)
梅の花のような馥郁(ふくいく)とした香り。「唐梅」「南京梅」などとも呼ばれた。
中国では梅、椿、水仙、蝋梅を「雪中の四友(しゆう)」とも呼ぶ。
風:虎落笛(もがりぶえ)
あたりの空気を引き裂くような音はさながら冬のクライマックス。
第六十九候 雉始雊(きじはじめてなく)【23小寒-末候】1月15日~1月19日
キジが鳴きはじめる時期。雉は日本の国鳥。オスが「ケン、ケン」と甲高く鳴き、美しい羽を「ホロロ」と打ち鳴らす。「けんもほろろ」は冷たく無愛想に(断る)という意味だが、雉の鳴き声が無愛想だからだとも言われる。

父母のしきりに恋し雉の声ー芭蕉
(ちちははのしきりにこいしきじのこえーばしょう)
【旬】
行事:小正月(こしょうがつ)
旧暦では1月15日が一年で最初の満月の日。この日を祝った名残が各地に残る。「餅花」「小豆がゆ」「どんど焼き」など。成人式が行われる時期でもある。
作物:小豆
鳥:尉鶲(じょうびたき)
第六十八候 水泉動(しみずあたたかをふくむ)【23小寒-次候】1月10日~1月14日
地中では、凍った泉が動き始める時期と解釈されている。「水泉(すいせん)」は湧き出る泉のこと。地下水は普通凍ることはないが、昔の人は氷が溶け始めたと思ったのかも。

【旬】
風物:日向ぼっこ
海藻:昆布
こんぶの語源はアイヌ語の「kombu」からとも。
行事:鏡開き
第六十七候 芹乃栄(せりすなわちさかう)【23小寒-初候】1月5日~1月9日
芹が盛んに生育するころ。「春の七草」にも入っている芹だが寒の中で採れる芹が美味。
【旬】
行事:七草の節句。
「春の七草」の入った七草がゆを食べて無病息災を祈る風習。(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ)「若菜摘み」と言い、野に出て野草を摘む。
「君がため春の野に出でて若菜つむ わが衣手に雪は降りつつ」
ー光孝天皇
植物:葉牡丹(はぼたん)
色とりどりの葉を牡丹に見立てた葉牡丹。日本では観賞用に改良。正月の飾りなどにも使われる。
風:花信風(かしんふう)
花の咲く時節の到来を告げる風。
第六十四候 乃東生(なつかれくさしょうず)【22冬至-初候】12月22日~12月26日
「夏枯草(なつかれくさ)」=「靭草(うつぼぐさ)」が芽を出し始める時期。冬に芽を出すことを「冬萌え」という。
夏至の初侯、「乃東枯(なつかれくさかるる)」に対応する候。
【旬】
実:柚子
中国から伝わる。俳句では秋の季語。冬至にゆず湯に入ると万病を防ぐといわれている。
野菜:南瓜(かぼちゃ)
木:樅(もみ)
第六十三候 鱖魚群(さけのうおむらがる)【21大雪-末候】12月17日~12月21日
鮭が群がって川を遡っていくころ。川で生まれた鮭は海を回遊し、秋から冬に生まれた川に戻って産卵する。
【旬】
魚介:ずわい蟹
食用とされる蟹の代表といえばずわい蟹。メスはオスより小さく、せいこ蟹などと呼ばれる。オスは山陰では松葉蟹、北陸では越前蟹と呼び名が変わる。
植物:ポインセチア

クリスマスの花として広まる。大きな花びらのように見えるのは苞葉(ほうよう)と呼ばれる特殊化した葉。日照時間が短くなってくると赤く色づく。花はその真ん中に集まる粒々。
木:楪(ゆずりは)
新しい葉が生え終わってから古い葉が「あとは頼んだよ」というように散っていくので「譲り葉」という名が付いた。常緑樹はどれも世代交代をするが、楪(ゆずりは)は特に葉が大きいのでその様子がよく分かる。
第六十二候 熊蟄穴(くまあなにこもる)【21大雪-次候】12月12日~12月16日
熊が穴に入り冬ごもりをする時期。冬ごもりの間熊は何も食べないので秋に食いだめをする。
白雪のふるきのうつぼすみかとて 深山(みやま)の熊も冬ごもるなりー藤原為家
【旬】
行事:煤払い(すすはらい)
江戸時代、毎年12月13日に煤払いすることが公家、武家ともに恒例の行事だった。「正月事始(ことはじめ)」とも言い正月を迎える準備の始まりの日とされた。
行事:松迎え
松迎えも正月事始の一つ。正月に飾る松を山野から採ってきた。松は古来、神が降りてくる依代とされた。
動物:かじけ猫
寒さにちぢこまっている猫。「こたつ猫」という言葉もある。かまどを使っていた頃は「かまど猫」。火を落としたあとのぬくもりの残る灰の中にもぐりこんで灰だらけになっていたとか。
第六十一候 閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)【21大雪-初候】12月7日~12月11日
空が閉ざされ本格的な冬になる時期。
冬日とは一日の最低気温が0度未満になること。真冬日とは最高気温が0度未満の日を指す。

片山に入り日のかげはさしながら しぐるともなき冬の夕暮れー藤原良経(91「きりぎりす」)
【旬】
魚:鱈(たら)
「鱈」は日本人が考えた国字。雪の降るころにとれる魚ということから。「鱈腹(たらふく)」は当て字で、意味はおなかいっぱいのことだが、鱈は何でも食べておなかが膨れているところから。
風物:湯たんぽ
植物:万両
第六十候 橘始黄(たちばなはじめてきばむ)【20小雪-末候】12月2日~12月6日
橘の実が黄色く色づき始めるころ。昔はかんきつ類を総称して「橘」と呼んだ。
11代垂仁天皇の御代、田道間守(たじまもり)が常世国(とこよのくに)(不老不死の理想郷)から持ち帰った果実だと伝わる。

708年、県犬養三千代(あがたいぬかいみちよ)が元明天皇より「橘」姓を賜る。後に源平藤橘とも呼ばれる橘氏の祖となった。
橘は実さへ花さへその葉さへ 枝(え)に霜振れど いや常葉(とこは)の樹ー聖武天皇
京都御所の紫宸殿の庭には、天皇の御座から見て左に桜、右に橘が植えられていた。儀式の際に、それぞれの近くに左右近衛府の武官が警護の陣を敷いたことから「左近の桜」「右近の橘」と称された。ひな人形の飾りにも使われている。
一年中葉が緑の常緑樹なので繁栄を象徴する縁起の良い木とされる。5~6月に白い花が咲く。
【旬】
実:橙
植物:ピラカンサ
魚:河豚(ふぐ)
第五十九候 朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)【20小雪-次候】11月27日~12月1日
北風が木の葉を吹き払う時期。「朔(さく)」は「はじめ」という意味でも使われる。方角が「北」を始めにもってくるところから「朔風(さくふう)」は北風を指すようになった。

【旬】
木:落葉松(からまつ)
植物:八手(やつで)
鳥:かいつぶり
第五十八候 虹蔵不見(にじかくれてみえず)【20小雪-初候】11月22日~11月26日
清明の末候「虹始見(にじはじめてあらわる)」に対応する候で、虹が見えなくなる時期。雨が少なくなるので虹も見えなくなる。
【旬】
木:南天

鳥:鴛鴦(おしどり)
実:龍の玉
第五十七候 金盞香(きんせんかさく)【19立冬-末候】11月17日~11月21日
水仙が咲き、よい香りを放つ頃。雪の中でも香り高く咲くので「雪中花」ともいわれる。

【旬】
花:金盞花(きんせんか)
現在「金盞花」といえば菊科の黄色やオレンジの花のことをいう。

鳥:ゆりかもめ

第五十六候 地始凍(ちはじめてこおる)【19立冬-次候】11月12日~11月16日
大地が初めて凍る時期。地中の水分が凍ってできる氷の柱を霜柱という。

【旬】
行事:七五三
天気:小春日和
第五十五候 山茶始開(つばきはじめてひらく)【19立冬-初候】11月7日~11月11日
「山茶花(さざんか)」の花が咲き始めるころ。ここで「つばき」と呼んでいるのは「山茶花」は元々「椿」のことだったから。日本では「山茶花」といえば「さざんか」として定着した。

「さざんか」と「椿」はよく混同されてきた。「さざんか」の方が咲き始めるのが早い。「椿」は花ごとぽとりと落ちるのに対して、「さざんか」は花びらが一枚ずつ散る。また「さざんか」は葉のふちがギザギザしているのも特徴。
落ち葉焚き
落ち葉をはき集めて家の前でたき火。今ではあまり見なくなった風景。
「さざんか さざんか 咲いた道 焚き火だ 焚き火だ 落ち葉焚き」
【旬】
植物:石蕗(つわぶき)
魚介:ししゃも、牡蠣
第五十四候 楓蔦黄(もみじつたきばむ)【18霜降-末候】11月2日~11月6日
楓や蔦の葉が紅葉するころ。

候のことば「山粧(よそお)う」
秋の山が紅葉する様子を「山粧う」という。
郭煕(かくき)という11世紀中国・北宋の画家が「春は山笑う、夏は山滴(したた)る、秋は山粧う、冬は山眠る」と表したことに由来。
【旬】
木:銀杏(いちょう)

景色:山装う(やまよそおう)
春・山笑う、夏・山滴る(したたる)、秋・山装う、冬・山眠る
星:星月夜
魚:かわはぎ
ふぐにまさるとも劣らないおいしさ。
野菜:さつまいも
江戸時代から栽培が始まる。ビタミンや食物繊維も豊富。